東京エクストリームウォーク100は、

築地の朝日新聞本社がゴールになっていますが、

途中で三ヶ所のチェックポイントを、

指定された制限時間内に通過しなければなりません。

第1CP(くらげ広場)

36km地点/関門時刻18:15

第2CP(横浜市児童遊園地)

56km地点/関門時刻22:00

第3CP(鈴ヶ森道路児童遊園)

88km地点/関門時刻8:15

ここに落とし穴があるのです。

関門時刻と距離を見てみると、

スタート〜第1CPまでは、

36kmを10時間15分以内で歩けば通過できます。

ところが、

第1CP〜第2CPは、

20kmを3時間45分以内で歩かなければ失格になるのです。

第2CP〜第3CPは、

32kmを10時間15分以内で歩けばOKです。

お気付きでしょうか?

スタート〜第1CPは、時速3.6km

第2CP〜第3CPは、時速3.2km

なのに、

第1CP〜第2CPは、時速5.3km で行かなければならないのです。

しかもこの区間は箱根駅伝で使われる、

地獄の登坂コース。

この区間こそが、

東京エクストリームウォーク100に潜む

魔物の正体なのです。

すでに、

ミスターXの足は、

限界に近づいていました。

今まで見たことがない苦悶の表情。

リタイアさせるべきか、続けさせるか!

私も迷いました。

迷った挙げ句に出した答えは、

何が何でも、

第2CPまではクリアさせたい!

失格だけは避ける事でした。

21:51

第2CP(横浜市児童遊園地)に到着。

関門9分前、

ギリギリで間に合ったのです。

ここは、まるで避難所のような状態でした。

疲れ果ててグッタリしている選手たちで溢れていました。

そこに鬼のようなアナウンスが!

「22:00になってもスタートできない人は失格になります。」

!(◎_◎;)

やっとの思いで辿り着いたのに、

休まず行けという事か!

続々と周りの選手たちが重い腰を上げて、

スタートし始めた。

ミスターXは、………立てない。

万事休す。

実は先ほど、

日進館のフロアショーと3人の歩きをインスタライブで中継したばかり!

日進館のスタッフやお客様にも応援して貰っている!

それで全滅していたら目も当てられない。

ここで大きな決断を迫られました。

「藤原さん、ここからは一人で行って!

他の選手のお尻にくっついていけば迷子にならないから!

藤原さんなら絶対にゴールできるから。

みんなの分も頑張って。すぐ行って!」

一瞬、目を潤ませた藤原選手でしたが、

以心伝心、

軽く頷くと選手たちを追いかけ

風のように消えていきました。

「頼んだよ。頑張って。」

これは本当に危険と背中合わせの大きな賭けでした。

「神さま、どうか藤原選手をお守りください。」

すると、ミスターXが、

「行きます。とにかくここを出ましょう。もし外に座れる所があったら、少しだけ休ませてほしい。」と、立ち上がりました。

気力だけで前に進んでいるミスターXですが、

松葉杖が必要な状況でした。

チェックポイントを出た所にベンチがあったので、とりあえず座りました。

「どうすします?」

「……リタイアします。」

「よく頑張りましたよ😋

闘いを終えた表情って、

なんとも言えないですね。

それは敗者の表情ではなく、

紛れもなく、

やり切った感満載の笑顔でした。

私もこれからの人生の中で、

こういう表情が出せる時が来るのかな?

ここまで一緒にやって来たこと、

忘れません!

お疲れ様でした。

さ〜〜て、

残り12時間で、43km。

ちょっと厳しいけど、

行っちゃいますか〜!

まずは、

あの元気なお婆ちゃん、

捕まえなくちゃ!

【つづく】